インターネットで「大学職員」と検索すると「ホワイトで高年収、休みも取りやすい」という検索結果がヒットしますが、本当なのでしょうか。
今回、当記事ライターの現役大学職員トキが国立大学に勤務する現役大学職員の杉田(仮称)さんに「実際の大学職員の様子」についてインタビューしました。
- 大学職員として働くリアルを知りたい
- 噂とおり大学職員はホワイトなの?
- 大学職員の年収ってどれくらいなの?
現役大学職員によるインタビュー記事を参考に大学職員のリアルを知りながら、大学職員として働くイメージを膨らませてください。
- 大学という環境で働くことに魅力がある
- 年収は国立大学より私立大学の方が良い
- 大学に勤務していることで周りから一目置かれる
- 大学業界にはチャレンジ精神のある人が必要
現役大学職員にインタビューしました
今回は、国立大学で働く現役大学職員の杉田さんにインタビューしました。
大学職員として働くなかで感じるリアルについて詳しく教えてもらいました。
以下の内容はインタビュー時点(2022年6月)の内容です。

プロフィール
- 新卒採用で国立大学に就職
- 文部科学省への出向を経験
- 勤続10年を経て来月末で退職予定
大学職員の仕事とやりがいについて

就活生や転職活動中の方から、これほどまでに人気を集める大学職員という職業ですが、その理由を調べてみましょう。
実際に国立大学の大学職員として活躍する杉田さんに、大学職員として働いて良かった点を聞いてみました。
- 幅広い業務を経験できた
- 学生を身近に感じる職場がいい
- 勤務先の名が知れている
大学職員は若いうちから色々な経験ができる
現役大学職員の杉田さんは2~3年で人事異動をしたことで、若いうちから幅広い仕事を経験できた点を教えてくれました。

大学職員になってよかったことを教えてください!



大学職員の良いところは、幅広い業務を経験できることです。
民間企業だと営業職なら営業、経理部門なら経理と専門職でずっと務めるケースが多いです。
しかし、国立大学の職員は就職して間もない若手の頃から2~3年のスパンで異動を繰り返しますよ!



2年~3年で異動できればいろんな経験が積めますね!



異動の機会が多いので、いくつもの仕事を経験し幅広いスキルを身につけることができます。
なかには自分に合わない業務もありましたが、数年で担当替えになる可能性が高いので、なんとか頑張れました(笑)
大学が職場になるという特別感がある



大学という環境で働くことについてはどうですか?



大学という職場では、学生さんを身近な存在として常に感じます。
お昼休みや気分転換にキャンパス内を歩くと、可能性に溢れた学生とすれ違うので精神的に若々しく居られます!
国立大学の場合、地方では大学名で名が通ることも多く、友人と就業先を比較した際に引け目を感じない点もメリットでした。
大学職員だと専門的なスキルが身につかず辛かった
「大学職員はホワイト」というイメージは本当でしょうか?
大学職員として働くなかで辛かったことや大変だったことについても聞いてみました。



大学職員としてつらかった経験を教えてください!



大学職員でつらかったことは、専門的なスキルが身につかないことです。
若いうちは幅広い業務を浅く広く経験するため、特定分野に長けた能力を習得することはできませんでした。
大学職員の経験が長くなると、「いざ転職をしたい」と思った時に選考書類に書けるような専門性がなくてかなり苦労しました…。



仕事の進め方については?



私のいた大学では、業務の効率化や新しい取り組みをあまり求められず、基本的に前例踏襲(過去のケースとおりにすること)でした。
私が働いていた国立大学では、新しいことをやりたい方には向かないかもしれません。
国立大学の職員に多い人物像は「落ち着いた人」
国立大学には数多くの大学職員が働いていますが、どのような職員が多いのでしょうか。
現役大学職員の杉田さんのまわりにいた国立大学職員の特徴を聞いてみました。



国立大学の職員はどんな方が多かったですか?



大学職員は世間から見ると「楽で高給取り」というイメージを持たれているため、私の転職活動の際にはプラスには働きませんでした。
私のいた国立大学では、仕事のできる人は早々に辞めてしまい、まったりと落ち着いた人が多かったです。
あまり活力のある職場とは感じませんでしたね。
大学職員の年収・福利厚生について
高年収で待遇の良いイメージがある大学職員ですが、国立大学の職員の場合はどうなのでしょうか?
国立大学の職員として実際に働いてみて感じた感想を聞きました。



国立大学の年収を教えてください!



国立大学職員の年収は調べるとすぐに分かりますが、公務員準拠のため、それほど高くはありません。
私立大学は国立大学の1.5倍ほどの年収であると聞きましたし、大規模私立大学のほうが給与面では良いですね。



福利厚生はどうでしたか?



福利厚生は保険や健康診断などがそろっているので十分でした。
その他では、築年数が経っているのであまり利用することはありませんでしたが、提携の宿泊施設などを利用することができましたよ!
大学職員を辞めようと思った3つの理由


人気の職業「大学職員」として働く人のなかには、転職活動をして別の職業に就く人もいます。
今回インタビューした大学職員の杉田さんも「転職を決意した」とのことで、大学職員を辞めようと思ったきっかけを伺いました。
- 専門的な知識が身につかないことへの焦り
- 私立大学に比べて国立大学は給与が低かった
- 人事評価と仕事の割り振りへの疑問



大学職員を辞めようと思ったきっかけを教えてください!



転職を考えた理由は、3つあります。
1つ目は専門的なスキルが身につかないことへの焦りです。
元々私は民間企業志望だったこともあり、就職した時から常に転職しようと考えていました。
大学業界以外ではあまり評価されない経験を積み重ねるより、30歳前後の若手枠ギリギリのタイミングで「専門性を高められる就業先」へ転職を決意しました。



確かに、大学職員はマルチに働くので若手のうちは専門性を身に着けるのは難しいですよね。



2つ目は給与面の理由です。
国立大学で仕事をしていると、私立大学の大学職員と比べて給与面の差があることに気落ちすることがありました。
業務を効率的に終えるよりも、残業をするば残業代がでるので給与面で良くなります。
私のまわりで意味の無い残業を繰り返す同僚の姿をかなり多く見たこともモチベーションを下げました。
そのため、給与水準が高い就業先への転職を決意しました。



早く仕事を終えて帰る職員もいれば、残業をしている職員もいますね!
働く部署によっても繁忙期が違うので、毎月の業務量は変わってきますね。



3つ目は人事評価制度と仕事の割り振りに対する疑問です。
大学職員は年功序列であり、基本的にはどんな改革を行ってもほぼ評価や給与には反映されませんでした。
私は、古いシステムの入れ替えや、大学広報を行い、客観的に数字で表せる貢献をしたこともありましたが、特に自身の評価や年収は変わりませんでした。
それどころか、成果を出した分野の業務が元々の業務に加えて増えてしまいました。
年功序列で硬直した人事評価制度が転職したい気持ちを後押ししました。
大学職員に必要なことは挑戦と我慢強さ
国立大学の職員として10年あまり勤務された大学職員の杉田さんに、この記事の読者さんへのメッセージをいただきました。



これから大学職員を目指す方へひと言お願いします!



大学業界は少子高齢化や、優秀な研究者の海外流出等があり、非常に重要な岐路に立たされています。
対外輸出高・急激な円安などにより日本の国力低下を考えると、大学が潰れる可能性もあると思います。
そんな中でも日本や大学業界を自分が変えていく、支えて行くんだ!というパッションがある方にこそ、チャレンジして頂きたいと思います!
大学職員には「熱い気持ち」と「我慢強さ」の2つが大切になります。
心から応援しています!
さいごに
今回は、国立大学で10年あまり勤務された大学職員の杉田さんにインタビューしました。
インタビューを通じて、本記事ライターの大学職員トキも共感する部分が多くありました。
特に、大学という職場自体が魅力的である点は私も毎日感じています。
- 大学という環境で働くことに魅力がある
- 年収は国立大学より私立大学の方が良い
- 大学に勤務していることで周りから一目置かれる
- 大学業界にはチャレンジ精神のある人が必要
さいごになりますが、大学職員には人間的な魅力が大切であると大学職員に必要なスキルを紹介した記事でも紹介しています。
今回、インタビューさせていただいた大学職員の杉田さんは、常に相手への配慮を忘れない方でした。
国立大学で10年あまりの勤務経験があるだけでなく、常に相手に目線を合わせて背景を理解しようと心がけているからこそ、周囲の状況を分析できて、次のキャリアアップにつながると思います。
大学職員の杉田さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
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