「大学職員になりたいけど、エントリーシート(ES)や職務経歴書がうまく書けない」と悩んだことはありませんか。
志望しているはずなのにエントリーシートがうまく書けずに手がとまってしまう理由は、これまでに文章力を磨く機会が少なかったり、自分の考えを言語化した経験がないことが原因です。
大学職員のエントリーシートはそれぞれの項目で400字~800字程度の記述を求められることが多く、ある程度、文字数のある文章を考える必要があります。
文章力を鍛えたり、自分の考えを言語化するためには本を読んだり、文章をたくさん書いたりする方法がありますが、とても時間がかかります。
この記事では、大学職員をめざしている志願者からの依頼を受けて、現役の大学職員が大学職員に特化したエントリーシート添削の様子を公開しています。
- 大学職員のエントリーシートの書き方がわかる
- 現役の大学職員が添削した他では読めない内容がある
- どこに注意して書けばよいのかポイントがわかる
結論、志望動機を書くときは自身の考えだけでなく志望するようになったきっかけや経緯まで書きましょう。
ありきたりではない、自分だから書ける志望動機にすることで納得感が生まれて面接官にも届けることができます。
就活生が書いたエントリーシートを大学職員が添削してみた

今回、添削したエントリーシートは自分の考えをよく書けていました。
就活を始めたばかりの就活生はどうしても内容が抽象的なエントリーシートになりがちですが、今回の志願者さんは何度も書いては直してを繰り返してきたことが伝わりました。
就職活動が本格化する3月に備えて、早くから準備をすすめる就活生は学部3年の6月ごろから就職活動をはじめています。
大学職員の新卒採用も民間企業と同じスケジュールで3月以降に採用説明会・プレエントリーを開始して、6月以降に面接が始まります。
大学職員の詳しい選考スケジュールについては以下の記事を参考にしてください。
大学職員をめざす就活生が書いたESを添削した総合評価
大学職員の選考にむけたエントリーシートは、民間企業とは異なり大学業界の動向や大学職員に求められる能力を意識して書く必要があります。
就活生からの添削依頼を受けて、今回、現役の大学職員が添削したエントリーシートのフィードバックは以下です。
良かった点 | 改善できる点 |
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求める人物像をよく理解して自分の話ができている 仕事を理解して業界研究をした様子が伝わる! 頑張ったことが明確で自己分析がよくできている◎ | 自己分析の裏付けになる経験談をもう少し書こう 主張や考え方の説明が弱い!もう少し言語化しよう |
- 大学の志望動機
- 入職後に大学をどのように発展させたいか
- 大学がこれから改革すべきことについて
添削を依頼した就活生の感想(利用者の声)
Kさん 女性 20代 |
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- 無料とは思えないほど丁寧で詳しい情報!
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大学職員の情報(特に新卒)は少なく、キャリアセンターも活用できず自力でやるしかないと八方塞がりの状況で少しでも取っ掛かりが欲しく応募させていただきました。 ESの中で自分が伝えたい情報をまとめてくださるだけでなく、自分で調べたり考える限界より先にある実際の生の職員の方の考え方を知ることができ、視野が広がりとても勉強になりました。 無料でいいのかと思うくらい詳しく丁寧に教えていただき周囲と差別化できると思います。
就活生が書いた大学職員の志望動機(エントリーシート)

- 赤字…表記を中心に添削で修正した部分
- ①網掛け部分…相談者へのコメント
「考動力と革新力を備えた人材を育成する」という教育ビジョンを描く貴学で、学生たちが他者の課題を一緒に解決しながら共に学ぶ環境を作りたいと考えます。貴学において聴覚障がいを持つ学生との関りを通して、①今まで経験することがなかった新たな世界を知り、他者を支援することが自分の力になると実感しました。最初は知らないことばかりで戸惑うことも多くありましたが、職員の方が学生たち自身で気づきを得るためのサポートをしてくださり、人の魅力を最大限発揮できる環境作りに興味を持ちました。貴学は同じキャンパス内に多くの学部が集まっており、多様な経験を持つ人材が一つになって取り組む環境が整っていると考えます。②「考動力」とは周囲を先導するだけでなく、他者のために今ある資源を最大限生かし仲間と高め合うことができる人であるという自身の考えに基づき、③私の強みである他者に寄り添い独自の支援を行う力を生かして貴学の発展に貢献したいです。
※相談者さんの選考活動に配慮し、一部文言を変更しています。
- 自分とは異なる価値観に触れたときにどのように対応しましたか?
- これまでの経験で考動力を意識した場面と自分の考えを裏付けるエピソードを足そう!
- 面接ではあなたの強みについての質問があります。強みを発揮した場面はどんな時?
大学職員の志望動機では、「なぜその志望動機を持ったのか」という動機の説明が大切です。
面接官が納得するような説明をするためには、これまでの自分の取り組みや学びに基づいて志望したことが伝わるように過去の経緯や背景の説明をしましょう。
大学職員が働く大学という職場はさまざまな人々と関わる機会が多いため、価値観が異なる人との取り組みについて言及できると、面接官は「あなたが入職後に活躍する姿」をイメージしやすくなります。
これまでの経験で人と関わる中で苦労した経験を積極的にエントリーシートに記載しましょう。

エントリーシートの構成を考えてから書こう
エントリーシートを書くときに、構成を考えずにすぐに志望動機を書き始めると失敗します。
以下の記事では、例文を使って大学職員の志望動機でやってはいけないNG行為を紹介しているので、間違った書き方をしていないか確認しましょう。
就活生が書いた志望大学を発展させる方法(エントリーシート)


- 赤字…表記を中心に添削で修正した部分
- ①網掛け部分…相談者へのコメント
研究・社会連携の観点から地域の課題を解決する取り組みについて、大学が中心となり社会貢献をすることで大学の卒業生が誇りを持つとともに社会から評価される①教育環境を整備したいです。私は大学のゼミ活動を通じて行政のPRを中心とした産学連携活動を行い、教授の研究をサポートしてきました。その過程で販売店舗のマージンが低いことによる収益赤字に直面したりゼミ教授の研究を活かした会社を設立したりするなど、資金面を意識することが何度かありました。大学が行う活動や研究には資金が必要です。しかし、資金を使うだけでは経済活動は成り立たず、回収するまでの一連のサイクルを考えられるように②支援することが社会でリーダー的存在になる卒業生を育成するカギだと考えます。大学発ベンチャーなど学生・教員の多彩な研究活動を組織的かつ総合的にマネジメントし、研究資源の循環を実現することで貴学を存続させ、③他大学との差別化を図りながら今ある資源を最大限活かす「学の実化」を真の意味で実現できると考えます。
※相談者さんの選考活動に配慮し、一部文言を変更しています。
- 「大学を発展させるための方法」という問いに対して簡潔に結論を述べましょう!
- 大学職員としてどのような支援ができるか具体策を記載しましょう。
- 他大学と差別化して大学の特色を出していく視点は今後ますます重要です!
上記のエントリーシートでは「志望大学を発展させるための方法」について、具体的な方法を聞かれています。
このような場合は自分の経験に基づいて具体策を提案しましょう。
提案に正解や不正解はないので自分の考えに自信をもって主張することが大切です。
自分の考えを主張するときは「○○という強みがある自分だから提案する」というように、自己PRに関する内容にも触れることで説明の一貫性や信ぴょう性が増します。
以下の記事ではアルバイトをもとに自己PRを考えた就活生の添削内容を公開しているので参考にしてください。



大学業界の知識だけを書いてはダメだよ!
大学の発展について考える場合、大学業界に関する知識をたくさん書くだけでは不十分です。
「こうすれば大学が発展すると思う」という具体策を書くときに、文部科学省の中央教育審議会の答申などを提案の根拠として政策的な背景を示す方法もありますが、それよりも志願者の経験や考えに基づいて、なぜその具体策が必要だと感じるのかをアピールしましょう。
政策背景や大学業界の動向だけを根拠にした場合、「誰にでも書けるありきたりなエントリーシート」になります。
自分の経験や考えに基づいて、あなただけの内容を書くようにしてください。
就活生が感じる志望大学の改善すべきポイント(エントリーシート)


- 赤字…表記を中心に添削で修正した部分
- ①網掛け部分…相談者へのコメント
ディプロマポリシーに基づく教育の質を担保するために授業のあり方を見直すことです。私は昨年①FD/SD研修プログラム※1に参加し、対面授業と遠隔授業の共存をテーマにワークを行いました。学生への調査で大学の授業において「学んだことを説明できる」と回答した人が6割程度しかいない状況でした。これでは変化が激しい社会に対応するために求められる資質・能力を育成できる環境ではないと危機感を覚えました。ワークでは他者との交流により非言語能力を育む対面授業の良い面を取り上げつつ、繰り返し復習でき知識定着に活用しやすい遠隔授業をカリキュラム上の基礎科目、発展科目といった性質に合わせて使い分けることで学修者本位の教育を行い、シラバスの具体化で②学修成果を可視化するなど提案しました。感染症による授業形態の変化や社会状況の変化の中でも③教育の質を維持・向上するため、教育活動を自律的・継続的に点検・評価・改善する仕組みを見直す必要があると考えます。
※相談者さんの選考活動に配慮し、一部文言を変更しています。
※1 FD(スタッフディベロップメント)SD(スタッフディベロップメント)の略でFDとは教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みのこと(出典:文部科学省)
- FD/SD研修の視点がとても良い!履修する側の気持ちを忘れずに!
- 今回の提案が前に進まない原因はありましたか?
- 「何のために?」があいまいだと周囲を巻き込めない。目的を明確に!
大学の課題について言及するエントリーシートの場合は自分が思う課題の説明に加えて、改善案を提案しましょう。
改善案を提案するためには「現状の課題」を明確にしたうえで「取り組む目的」を定義する必要があります。
大学の課題について書くエントリーシートの場合、面接官は志願者の考え方や業界分析がどのくらいできているかを確認する意図で質問しています。
志望する大学の中長期事業計画に目を通したうえで、学生の定員充足率や入学志願者数などを見ながら、自分が感じる課題を探してみましょう。
大学職員のエントリーシートは結論から書こう
エントリーシートを書くときは結論から書くことを意識しましょう。
大学職員のエントリーシートは志望動機やこれまでに頑張ったことなど2~3項目の設問で構成されています。
倍率の高い大学の場合は1つの求人に対して1,000通を超えるエントリーシートが届くこともあるため、面接官がエントリーシート1枚を読むのにかけられる時間には限りがあります。


人間が文章を読むときの視線の動きにはZ型やF型に動くという特徴があります。
いずれの場合もエントリーシートで文章が始まる冒頭に結論をもってくることで、自分が伝えたい内容を確実に面接官に届けることができます。
面接官が1回読んだだけで、どんな内容が書かれているのかを把握するためには、結論を最初に書いて、1文を短くするよう心がけましょう。
以下の記事では、現役の大学職員が書いたエントリーシートの例文と書き方をさらに詳しく解説しています。
エントリーシートには「なぜ」を書くことが大切


エントリーシートでは、志願者の考え方や想いを知ることができます。
面接官はエントリーシートに書かれていることを通じて、あなたの志望動機やこれまでに頑張ってきたことを理解して、あなたの人柄や特徴を理解しようとします。
大学職員の書類選考を通過するエントリーシートは「入職後も活躍する姿がイメージできる」ESです。
書類選考を通過するエントリーシートの具体的な特徴は次の3点です。
大学職員の書類選考を通過するエントリーシートの3つの特徴
- ESの内容に納得感がある
- 一度読んだだけでESの内容を理解することができる
- ESから再現性を感じることができる
エントリーシートにどれだけ素晴らしいことを書いても、面接官が読んだときに理解して納得できなければ書類選考を通過することはできません。
面接官にあなたの考えや想いに共感してもらうためには、思考や主張に至った理由や過去の経緯も一緒に伝えることが大切です。
あなたの主張を補足する理由や経緯は、これまでに経験したことや忘れることのできない実体験などです。
これらの経験や体験を通じてあなたの心が動いた結果、いまの考え方に繋がり、いまのあなたという人格が形成されています。
これまでの経験や取り組みだけを話すのではなく、失敗したことや学んだことをセットで伝えることで入職後の再現性をアピールすることができます。
「自分の強みは○○で△△の状況で発揮することができる」ということが、自分の中で明確になっていれば、同じような状況では成果を出しやすく、その再現性も高く評価されます。



1回読んだだけで伝わるESをめざそう!
エントリーシートでは読みやすい文章を心がけて、面接官が一度読んだだけで内容を理解して納得できるESをつくることを目標にしましょう。
以下の記事では、ゼミ活動を頑張った就活生のガクチカ添削を通じて、取り組んだ理由や主張の説明をしっかりと明記するための方法を解説しています。
読みやすいエントリーシート書く方法は文章力を鍛えること
読みやすいエントリーシートを書くためには文章力を鍛える必要があります。
普段、日常的に使っている日本語はLINEメッセージなどの短い文章がほとんどです。
エントリーシートに求められるような長文を書く機会はあまりなく、苦手意識を感じるのであれば、文章力を鍛えてみましょう。
文章力があれば、会議資料の作成やメールなど日々の仕事の場面でとても役に立ちます。
文章力はすぐに身につくものではありませんが、少しずつ磨いていくことで確実に自分のスキルとして積み上がります。
大学職員になると、毎日、文章を作成する機会があるため文章力は必須のスキルになります。
文章力があれば自分の伝えたいことを確実に相手に届けることができ、習得すれば生涯にわたって使うことができる一生モノのスキルなので今のうちから文章力を鍛えましょう。
- 文章力を鍛える本を参考にする
- 他の人に自分の文章を読んでもらう
- 繰り返し文章を書いて推敲(すいこう)する
文章力を鍛えるために、まずはじめにやるべきことは文章力に関する書籍を参考にすることです。
文章を書くときに読みやすい文章の書き方を知っているだけで、文章は書きやすくなり、心理的な負担を感じにくくなります。



まずは文章力を鍛えよう!
文章力を鍛えるためにおすすめの書籍は「新しい文章力の教室」です。
「新しい文章力の教室」ではナタリー元編集長の唐木元さんが苦手を得意に変えるためのナタリー式トレーニングとして全77項目に分けて文章力を鍛える方法を教えてくれます。
- チャプター1.良い文章とは完読される文章
- チャプター16.文章は意味・字面・語呂の3つの見地で読み返す
- チャプター26.漢字とかなのバランスに注意する
- チャプター33.「が」や「で」で文章をだらだら続けない
- チャプター49.体言止めは読者に負担を与える
上記は「新しい文章力の教室」のチャプター77項目の抜粋です。
ひとつのチャプターが見開き1ページで完結するので、移動時間や昼休みなどスキマ時間に読むことができます。


選考を通過するESを書くには添削と音読を繰り返そう


選考を通過するためのエントリーシートをつくるためには、自分が書いた文章を他の人に読んでもらうことが効果的です。
家族や友人などに自分が書いたエントリーシートを読んでもらって、添削してもらうことで自分では気づかなかった修正点に気づくことができます。
文章を書いている本人は書きたいことが頭の中にあるので、自分が書いたエントリーシートを読んでも内容をすぐに理解できますが、はじめて文章を読む人に見せると「よく分からない…」という反応が返ってくることもあります。
面接官が1回読んだだけで理解できるエントリーシートを目指すために何度も添削を受けてESをブラッシュアップしていきましょう。



自分で声に出して音読するのも効果的!
添削のほかにも、自分でエントリーシートを声に出して読んでみる方法もあります。
私たち人間は文章を読むときに無意識のうちに頭の中で音読しているといわれています。
実際に声に出して音読することで文章の意味やリズムがうまく書けていない部分に気づくことができます。
まとめ
大学職員のエントリーシートで書くべき項目は、どの大学でもある程度、決まっています。
新卒で大学職員を目指している就活生は大学職員の選考スケジュールを理解して早い時期から対策をしましょう。
転職活動の場合は、即戦力を求められるので文章力や志望動機の説得力は必ず必要なスキルです。
- 大学の志望動機
- 入職後に大学をどのように発展させたいか
- 大学がこれから改革すべきことについて
大学職員の書類選考を通過するエントリーシートを書くためには、面接官が1回読んだだけで理解できる内容にすることが重要です。
面接官が知りたいと思っているあなたの考え方や想いを書いたうえで、考え方の背景やこれまでの経験を盛り込みながら説得力のある内容に仕上げていきましょう。
エントリーシートでは、文字量のある文章を書く必要があるので文章力を身につけなければいけません。
文章力を磨くためには、自分ひとりで悩むのではなく次の3点を実践しましょう。
- 文章力を鍛える本を参考にする
- 他の人に自分の文章を読んでもらう
- 繰り返し文章を書いて推敲する
ほかにも自分で書いたESを音読することで、語呂のリズムや主張の矛盾に気づくことができます。
まわりに「エントリーシートの添削をお願いできる人がいない…」という場合は、当記事ライターの現役大学職員トキの無料相談でES添削や模擬面接を行っているので活用してください。
エントリーシートの添削や大学職員になるための相談を希望する場合は、公式LINEからご連絡ください。
現役の大学職員トキが直接、対応させていただきます。