大学職員の仕事をイメージした時にどんな人と関わる場面を想像するでしょうか。
大学職員は大学教員と仕事で関わる機会がとても多く、職員と教員は「教職員」といわれ、大学で働く構成員です。
同じ大学で働く大学職員と大学教員ですが、役割が異なるため、それぞれの仕事の内容は全く違います。
- 大学職員は教員とどんなふうに関わるの?
- 大学職員と教員は対等な関係性なの?
- 気をつけた方がいい教員っているの?
大学職員になると、教員とは同じ大学人(※1)として仕事をすることになります。
※1 大学人とは大学業界で働く人々を指す業界用語。
この記事では、一般の大学教員から学部長などの行政職教員まで、幅広い教員と共に仕事をしてきた現役の大学職員がこれまでの経験を踏まえて教員との関わり方について紹介します。
大学職員の採用面接では、最終面接の際に教員が面接官として加わる大学もあるので、大学職員と教員の関係性について理解しておきましょう。
- 大学職員の仕事内容がわかる
- 大学職員と教員の役割についてわかる
- 大学職員に必要な能力がわかる
大学職員が教員と仕事をする機会は多い

大学教員はゼミや講義に加えて、専門分野に関する研究活動や学会準備など忙しく仕事をしています。
そのため、学生指導や研究に関する場面では大学職員が教員と関わる機会が多くあります。
- 期末試験の出題・成績判定
- 教員任用の相談
- カリキュラム整備の打ち合わせ
- 入試運営に関する業務
- 新制度立案に関する検討
この他にも、研究活動に関する仕事や各種委員会などの運営などもありますが、大学の業務としてなじみのある内容について紹介します。
大学職員が教員とどのように関わりながら仕事をしているのかイメージしてみましょう。
毎学期の成績採点を大学職員が教員に依頼している

大学では、学部ごとにたくさんの科目を開講して、授業実施をしています。
その中から学生は好きな科目を履修して学修することになりますが、学期末にはレポートや試験を通じて成績付与をする必要があります。
学生ひとりひとりについて、各自が履修した科目ごとに成績をつける必要があるため、大学職員は成績付与に向けた準備を行います。
その学期に開講しているすべての科目について、それぞれの教員に採点・成績付与の依頼を行うため、大学職員は日々の仕事で依頼準備をしています。

教員は大学所属の専任教員だけじゃない!
大学で講義を担当しているのは専任の教員だけでなく、他大学の教授や民間企業の実務家教員もいるため、あらゆる教員に依頼を行います。
日々忙しい教員に対して、期日までに成績付与が行われていない場合は督促を行うことも仕事です。
すべては、定められた期日までに学生に成績公開ができるように大学職員は動いています。
大学組織の運営に必要な会議を行う


大学の組織はとても大きいため、学部やキャリアセンター、入試部などそれぞれの役割ごとに組織が分かれています。
各組織では、どのような取り組みを行うかなどの意思決定をするために委員会を設置しています。
委員会では、代表の教員がセンター長などの役職(行政職)に就き、大学職員と一緒に委員会運営を行っています。
大学職員は委員会運営のために、議題の設定や検討の方向性を行政職の教員と相談して決めていきます。
- 議題を設定する
- 論点を整理して大まかなシナリオを考える
- 他大学の動向など情報収集
- 委員会の資料準備
- 委員会の議事録作成
これらの仕事を大学職員が中心となって行いつつ、委員会運営に向けて役職の教員と相談しながら、進めていきます。
委員会では限られた時間の中で活発な議論を行い、話が散らからないように論点を事前に整理しておく必要があります。
そのため役職の教員とは、事前の打ち合わせで今後の学部の運営方針や解決すべき課題など深い話をする機会が多いのが特徴です。
大学職員は教員から個別に相談されることもある


大学職員と大学教員では、それぞれ役割が違います。
大学教員は所属する学部や教員同士の情報を持っているのに対して、大学職員は他部署も含めた大学内の情報を幅広く持っています。
大学職員の役割 | 大学教員の役割 |
---|---|
大学組織の運営 大学内の各部署との連携 文部科学省への連絡報告業務 | 講義やゼミの担当 専門分野の研究活動 入試問題の出題採点 |
このように大学職員は大学全体の情報を持っているため、教員から個別に相談を受けることがよくあります。
教員が指導する学生の中で、「特別な配慮や支援が必要な学生がいる」という相談であれば、大学内の学生支援課などに話をつないで学生サポートを行います。
教員が行う研究活動の研究費に関する相談であれば、研究支援課などと連携して教員の困りごとが解決できるよう取り組みます。
ただし、教員個人のエゴによる要求については、はっきりできないと伝える必要があります。
大学職員は教員の秘書業務を行うわけではなく、学生や研究のためのサポートに関する業務を行います。
教員ひとりひとりに合わせた対応力が大学職員には求められます。



怒鳴ってくる教員がいたこともあったわ!
大学教員と仕事をするときに大学職員が意識すること
大学教員と仕事をするときに意識をすることは「相手に合わせること」です。
大学職員は就職した大学に長く勤務する会社員のような側面を持ちますが、大学教員の場合は研究者として他大学への移籍を頻繁に行うことがあります。
そのため、教員によって大学職員が務める大学の制度や習慣に詳しい人もいれば、着任したばかりで全く右も左もわからない人もいます。
仕事の話をする時には「どこまで前提知識を持っているのか?」を確認しながら、説明や相談を行うように心がける必要があります。



多忙な教員の時間を使っている意識を忘れないこと!
大学教員の仕事は講義やゼミだけではありません。大学内の会議・調査活動・イベント地方出張・メディア取材など、とにかく多岐にわたります。
なにより、教員の本業である研究活動・学会活動には膨大な時間とエネルギーを使う必要があるため、大学教員は忙しいのです。
教員に何かを説明するときは、情報を小出しにしたほうが話しやすいタイプや要点をまとめて一度で伝えたほうが良いタイプなどさまざまです。
一緒に仕事をする教員のタイプを把握して、お互いに適切な距離感でコミュニケーションが取れるようになると大学職員としての仕事がやりやすくなります。
- 一度に伝えて欲しいタイプ
- 小出しにして欲しいタイプ
- 要点だけ知りたいタイプ
相手に合わせることができれば、結果的に大学職員の仕事もやりやすくなります。



相手に合わせるって実はすごい能力!
大学教員からハラスメントを受けないために
近年では、大学教員によるパワハラやアカハラが問題となるニュースも出ており、各大学ではハラスメント相談室の設置やガイドラインの配布などハラスメントの抑止を行っています。
社会には「先生」といわれる職業が一定数あります。「先生」と呼ばれる方と仕事をする点では、医療事務・MR(医薬品営業)・パラリーガル(法律事務職員)・議員秘書・大学職員などが挙げられます。
大学においては、大学教員と大学職員に立場上の優劣はなく、それぞれの役割は違いますが対等な関係性です。
もし、まわりに次のようなハラスメントを行う教授がいる場合は、すぐに大学内のハラスメント相談室や専門家に相談しましょう。
- 罵声を浴びせる
- セクハラ発言
- 俺が言うのだからと脅す
大学職員を「事務員」として見下している大学教員には気をつけましょう。
大学教員を取り巻く環境には、研究指導のために大学院生を個人研究室単位で指導することによる「たこつぼ化」現象や、学会等の専門分野における教員間の師弟関係など、ハラスメントを誘発しやすい環境が数多く存在します。
ハラスメントでは「受け手がどのように感じたか」によって、ハラスメントが認定されるため、「そんなつもりはなかった」とならないよう気をつけなければいけません。


ハラスメントに遭わないための対策方法
大学教員からのパワーハラスメントは、立場や年齢が異なる学生や若手の大学職員が被害に遭うケースも報告されています。
もし、ハラスメント気質の大学教員と仕事をする場合は次の点に気をつけて行動しましょう。
- 上司や同僚と複数人で対応すること
- 教員の個人研究室ではなく事務室の窓口で対応すること
- ひとりで対応しようとせず上司や周囲と共有すること
大学にはハラスメント相談室や内部通報システムが整備されています。
大学教員と大学職員はそれぞれの役割があり、お互いに助け合うことで大学での仕事が成り立っています。
そのため、ほとんどの大学教員は大学職員と友好的な関係をつくり、お互いが仕事をしやすい環境をつくろうとしてくれるので安心してください。
大学業界誌では、大学職員から大学教員へのハラスメントも事例として報告されています。
大学教員と大学職員は同じ大学で働く者として、お互いに尊敬の念をもって接することを忘れないよう常に心掛けておきましょう。
大学職員の役割をもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事で大学職員の仕事内容をチェックしてみましょう。
まとめ
大学職員になると、大学教員と一緒に仕事をする機会があります。
大学職員が教員と行う仕事は次の通りです。
- 期末試験の出題・成績判定
- 教員任用の相談
- カリキュラム整備の打ち合わせ
- 入試運営に関する業務
- 新制度立案に関する検討
大学教員は専門分野で研究を続けるプロの研究者で、若い頃の下積み経験が長い人も多く、苦労を重ねてきた分だけ人間的に魅力的な人がたくさんいます。
大学教員と大学職員はお互いに役割が違うものの、「学生のために大学で働く」という点で協力をしながら仕事をしています。
お互いに役割の違いを認識しながら、常に相手へのリスペクトを忘れなければ友好的でとても良い仕事環境を大学の中でつくることができます。



教員と仕事ができるのも大学職員の魅力よ!
若手の大学職員には、大学教員という肩書に臆することなく積極的に仕事で関わって欲しいと思います。
若手の大学職員は「教員との仕事を重ねることで成長していくから」です。
人としての魅力にあふれた教員がいるのが大学という職場です。
人間と接するおもしろさ、時に難しさ、人として成長する喜びを感じることこそが大学職員として働く魅力です。
自分ひとりではできないことでも、周りの教員や同僚と力を合わせることで実現できます。その結果、学生のよりよい学修環境の実現へとつながっていきます。
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